Aさんという女性の体験談。
その日、Aさんは小学校の同級生だったBさん、Cさんと一緒に買い物を楽しんだ。その夜にお洒落なレストランで食事をしていたときのことである。
小学生時代の思い出話に話題が移り、当時流行っていた「こっくりさん」の思い出話になった。 今思えばほとんどは言葉になっていなかったが、たまに意味が通る言葉になって怖かった、というような話になった。 Aさんはふとあることを思い出した。
「そういえば、こっくりさんをやっていると、女の子が来て、解説みたいなことをやっていたよね。これはこんな意味があるとか、そんなことを言っていてさ。あの子って誰だったの? 隣のクラスの子だと思うんだけど、BちゃんかCちゃんの友達?」
すると、Bさんが不審そうな面持ちで言った。
「そんな子いたかな。いなかったと思うけど」
CさんもBさんに同意した。しかし、Aさんには間違いなく解説役の子の記憶があった。
確か、こっくりさんを始めた最初の頃にはいなかった。いつの間にかこっくりさんのときはいつも同席するようになっていたはずだ。 夕暮れの教室に、いつもその子がどこからともなく現れて、何か妙なことを言っていた。毎回、こっくりさんを始めるときに「今から私が███を務めます」と宣言していた。 一体、何を務めると言っていたか……。
「確か同年代の子だったよ。あの子、Bちゃんの友達じゃないの?」
「違うよ。絶対にそんな子はいなかった」
「そうそう。怖いこと言うのやめてよね」
結局、BさんとCさんは解説役の子はいなかったと言って譲らなかった。しかし、Aさんは話を続けるうちに記憶が徐々に蘇っていった。記憶の中で、解説役の子が実在していたことは確固たる事実になっていった。
食事を終えてBさん、Cさんと別れた後の道すがら、Aさんは解説役の子がこっくりさんを始める前に宣言していた言葉を思い出した。
「今から私が審神者を務めます」
さにわ。Aさんにとってはあまり聞きなれない言葉だった。意味を調べてみると、背筋に寒気が走った。
審神者。神様のお告げを聞き、神託を解釈する役職。
解説役の子は一体、何のつもりで審神者を務めると発言したのか。Aさんはこれ以上は記憶を遡らない方が良いと判断し、こっくりさんのことは考えないようにして家路を急いだ。
帰宅すると、Cさんから電話がかかってきた。
「もしもし」
「Cちゃん? 今日は楽しかったね」
「楽しかったじゃないよ」
Cさんはどういうわけか怒っていた。身に覚えがなく、Aさんは困惑した。
「ごめん。私、何か変なことでも言った?」
「Bちゃんが覚えていないのは、そういうことだからさ」
「え?」
「だから、Bちゃんが覚えていないのは、そういうことなんだよ。思い出したら良くないことが起こるでしょ。もうBちゃんの前であの話はしないでね」
Cさんは一方的に捲し立てると、そのまま電話を切った。
それ以来、AさんはBさん、Cさんと個別で会うことを避けるようになった。同窓会などで大勢で会うときは気にしないようにしているが、三人で集まることはなくなった。
本稿はFEAR飯のかぁなっき様が「禍話」という配信で語った怪談を文章化したものです。一部、翻案されている箇所があります。 本稿の扱いは「禍話」の二次創作の規程に準拠します。
作品情報
- 出自
- 禍ちゃんねる 平成最後の怖い話スペシャル (禍話 @magabanasi、放送)
- 語り手
- かぁなっき様
- 聞き手
- 加藤よしき様

0 件のコメント:
コメントを投稿