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2021年12月12日日曜日

真・女神転生Vの真Nエンディングを拝んで (ネタバレ注意)

狂気のデメテル。
サイン入りウツセミは2、3枚捨ててしまった。

 真・女神転生Vの発売から1か月が経過し、全ルートを巡った人も少なくない。のんびりと遊んでいた私は昨日になってようやくNeutralルートの真エンディングを拝んできた。それ以外ではLawルートのエンディングしか見ていない。難易度はNormalで固定。

 既に何度も言及されているだろうが、今作の残念なところは、人間の登場人物の掘り下げが浅いところだ。特に敦田兄妹はどうにかならなかったのだろうか。ミヤズはサブクエストの方が本番ではあろうが、そのサブクエストも物足りないというのが正直なところ。女神ミヤズをストックに入れたかったような気もする、というのは冗談だが。

 比較的に描写が多かった太宰イチロウも、Lawルートに進むとほとんど見せ場もなく退場してしまう。合一の余波で吹き飛ばされて死亡するという展開に、制作側の都合が垣間見える。せめて、真っ当に戦って真っ当に敗北してほしかった。

 人間の登場人物の描写をもっと多くしていれば、真Nエンディングを見たときの感想も少し変わっていたと思う。主人公は神魔を消し去ることを願い、アオガミとの切ない別れを経て、最後は唯一の神 (のような存在) として世界の行く末を見守る。そのような結末自体は良いのだが、本作では仲魔の育成や豊富なサブクエストの存在から、プレイヤーはむしろ神魔の存在を好ましく思うように誘導されると思う。少なくとも私はそうだった。ときには悪魔を殺し、ときには悪魔に殺され、ときには悪魔を貶め、ときには悪魔を愛好する。そんなゲームで神魔を消し去るのが真のエンディングですとお出しされても。せめて、人間側の描写がもう少し存在すれば、別の感想になったのではないかと思わずにはいられない。

 ただ、樹島サホリの末路や、東京のダアト化に巻き込まれて死亡した人々、学校で悪魔の襲撃にあった生徒たちのことを考えれば、神魔の存在を最初から無かったことにするのは正しい選択なのかもしれない。今回、蛇に乗せられて誘惑するロウヒーロー、生真面目なカオスヒーロー、傍目には狂人にしか見えないNルートの立役者といった、真・女神転生シリーズへの固定観念を逆手に取った構図を作り出そうとする意図が見える。真Nエンディングの大事なものをどこかに捨て去ったかのような後味も、制作側の意図したものなのかもしれない。

……それにしたって、描写が色々と足りていないと思うが。廃墟と化した東京の探索や、精巧な悪魔のグラフィック、興味深い設定と面白い要素は沢山あっただけに、本当にシナリオが惜しい。あと、女神ミヤズ使いたかった。そういえば、神魔のいない世界でもミヤズちゃんは健在だったけれど、コンスが存在しないのにどうして元気そうなのだろうか。主人公が気を利かせたのだろうか。