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2021年5月31日月曜日

Creepypasta私家訳『奴らはどこにでもいる』(原題“They're Everywhere”)

作品紹介

 CreepypastaであるThey're Everywhereを訳しました。 Creepypasta Wikiでは“Historical Archive”に指定されています。

作品情報
原作
They're Everywhere (Creepypasta Wiki取得。oldid=957419)
原著者
不明
翻訳
閉途 (Tojito)
ライセンス
CC BY-SA 4.0

奴らはどこにでもいる

「どうにもならないんです、先生。奴ら、どこにでもいやがるんです。俺しか知らないんだ」

「何の話かな、ラリー」

「悪魔だよ!奴ら、どこにでもいるんだ!」

「悪魔について話して、ラリー。どんな見た目をしているのかな」

「革みたいな、てかてかした黒い肌。細長い脚の一本一本に鉤爪が付いている。羽は死神が着る服の布地のよう。それに目だ!」寝椅子の上の男はぞっと身震いする。

「目がどうしたっていうんだい、ラリー」

「その目はデカい。顔の半分が目だ。目のようにすら見えない見た目をしている。数万もの目が集まったような感じなんだ。しかも赤いんだ!」

「分かったよ、見た目の話は十分。どうして悪魔はあなただけをそんなに怖がらせているのかな。悪魔があなたに惹き付けられているのかな。悪魔の何が気に入らないのかな」

「ああ、俺は奴らのことは何でも知っている。奴らは夜に墓場に行き、地面を這い潜って、死体の肉をむしゃむしゃ食らう。奴らは食べ物の中に潜り込んで、ゲロを吐いて毒を盛る。奴らは路肩で倒れている腐りかけの動物の死骸を食べる。奴らはその存在に気付いていない人々の周りを浮遊する。そして、鉤爪を人々の肉に刺し込んで注入するんだ。病気と腐敗と、それから、前に食らったすべての死体の苦痛のすべてを。奴らは不快で忌まわしい生き物で、それで……」

「分かったよ、ラリー。それで、どこで悪魔を見かけるのかな」

「どこにでもだよ!公園では、奴らが家族たちの背後で宙に浮いている。人々には奴らが見えないんだ。それで、奴らは鉤爪を人々の肉に刺し込んで、それで注入するんだ。病気と……」

「分かったよ、ラリー。前もその話をしていたね。今後は週に2回、診察しないといけないね。水曜日と金曜日でいいかな」

ラリーは頷くと、白衣を着た二人の人物に連れられてドアから出る。再びドアが開くと、精神科医の秘書が部屋に入ってくる。

「さっきの統合失調症の方がどうして何も食べようとしないのか分かりましたか」

「ああ。残念だけど、もうしばらく強制摂食が必要になるね。彼は悪魔がどこにでもいて、食べ物に毒を盛っていると思っている。みんなで彼のプテロナルコフォビアを治す方法を見つけないといけないな」

「プテロ……何ですか」

「蝿恐怖症だよ」

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