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2021年5月20日木曜日

Creepypasta私家訳『09/17/10』

作品紹介

 Creepypastaである09/17/10を訳しました。 Creepypasta Wikiでは“Suggested Reading”に指定されています。 誤訳などがあれば指摘をお願いいたします。 正確な訳かどうかは怪しいですが、だいたいの意味は通っているはずです。

作品情報
原作
09/17/10 (Creepypasta Wiki取得。oldid=1407923)
原著者
Bongwatersnowman
翻訳
閉途 (Tojito)
ライセンス
CC BY-SA 4.0

09/17/10

数か月前、チコ州立大学で授業が始まった。1年生の授業に向けての準備をする中で、必要なものすべてを見つけることができた。ノートパソコンを除けば。私は金を出して物を買うのを渋りがちだった。特により安く手に入れられるときは。

ノートパソコンを良い値段で買えないかインターネットで調べて回った。しかし、自分のケチな性向に見合うものはなかった。授業まであと2週間しかなく、コンピュータがほしくてたまらなくなってきた。数日後、新聞でノートパソコンの広告を見かけた。ほんの600ドルで売っているという。私が住むところからそれほど遠くない。しかも、とても良い感じのDellのノートパソコンだ。ただ、店での売値よりも1,000ドルほど安く売っているのは変だとも思った。

翌日、売り手の住所へ車で向かった。その家は都市から離れたところにあり、そのすぐ近くに鬱蒼とした森があった。家の外には古いシボレーが停められており、古い掲示物や他の様々な古そうな見た目のものが散らばっていた。ドアベルを鳴らすと、フランネルのジャケットを着た痩せた男が出てきた。ノートパソコンについて尋ねると、安心したような風で、すぐに売る準備ができていると言ってきた。幸運にも、私は金を持ってきており、良い状態にあることを確かめた後、新しいコンピュータを持って帰宅した。

初めて自分で買ったノートパソコンに興奮しつつ、電源を入れ、プログラムやアプリケーションのアップロードを始めた。ハードドライブを調べていてすぐに、フォルダが隠されていることに気づいた。奇妙だった。パソコンを売った男は、メモリは綺麗に空にして、新しく使い始めるための準備がしてあると言っていた。フォルダには「09/17/10」という名前がついていた。どうやら日付のようで、2010年9月17日という意味だろう。フォルダを開けてみると、6つの映像と3枚の写真があった。好奇心に突き動かされ、映像を見ることに決めた。

最初の映像は単に「001」というタイトルだった。映像は車の中からカムコーダで撮影されたもので、手ぶれしていた。映像は夜で、バーから女性が歩み出てきて、車に乗る様子が記録されていた。数秒後に女性が車を発進させ、その直後に、映像の撮影者も女性を車で追い始めた。映像は24秒後に終了した。撮影者はしばらくの間、女性を待っていたようだ。

考えてみると、その時点まではそれほど不安はなかったが、ただ少し落ち着かない気分ではあった。次の映像ファイルを開いた。タイトルは「002」だ。これは最初の映像の続きなのだろうと推測した。その推測は正しく、カメラがキャビネットの上に置かれ、フロンドガラスから外を向いた状態で開始された。雨が降っていることから、最初の映像が終わってから少し後に撮影されたのだろう。どうやら、撮影者の車から2両分前にある車が、バーを出た女性が乗ったものと同じ車であるらしい。この落ち着かなくさせる47秒間が続いた後、カメラが停止した。私は少しびくびくし始めた。最悪の展開になることを恐れた。

しかし、テレビ番組を見ているかのように、この映像の顛末を見たくなった。まだ心配しきったわけではなかったため、次の映像を見ることにした。3番目の映像はもちろん「003」という題名だった。この映像を見た後は本気で心配になった。映像は最初と同じく、震える手で握られたカメラからのものだった。車の外は土砂降りだったため、撮影対象ははっきりとは見えなかった。それでも、毛皮のコートを着て、傘を持った人物が家の玄関の方に歩いているのが辛うじて分かった。この人物が誰か、家が誰のものかだけは推測できた。その人物は家に入り、ドアを閉めた。

その後には静寂が続き、とても狼狽させられた。唯一聞こえたものは車の屋根に雨が叩きつけられる音だけだった。この神経を逆なでする何もない時間がだいたい2分続いた後、家の中からの明かりが消えた。さらに1分ほど経過すると、カメラが再びキャビネットの上に置かれ、誰かが車を出る音が静寂を破った。車のドアが静かに閉められ、新たな人物がカメラに映った。その人物はこの時点ではフードを被っており、家の方へ歩いていくのが見えた。部外者らしき人物が家の裏手の方に向かって歩き回っているのを見るにつれて、胃の底できりきりとした痛みが強まり始めた。この人物が誰であっても、間違いなくそこにいるべきではない人物だろう。それから数秒後、家の外の明かりが消えた。画面は真っ黒で、雨の音だけがカメラがまだ録画中であることを伝えていた。雨と暗闇が9分ほど続いた後、映像は終わった。

私はこれがちょっとした無害な企てか何かではないことを確信していた。ノートパソコンを売った男が信用できるか確認しなかったのは愚行だったとも思い始めていた。女性の後をつけ回しているこの人物は、私が前に会った人物と同一人物なのだろうか。映像を見続ける中で、うっすらと警察に通報しようかと考えていた。しかし、まだ心構えができていなかった。気が進まないながらも、4番目の映像「004」を見始めた。映像は再び暗闇から始まったが、雨はやんでいた。ただ無音の中に取り残されていた。映像が始まってからほどなく、誰かが砂利の上を歩く音が聞こえてきた。その人物が車に近づき、音は徐々に大きくなっていった。車のドアが開き、室内灯がついた。すると、カメラは車の床に置かれており、天井の方を向いていると分かった。背景でいくらか手探りする音が聞こえ、急にトラックの後方からガツンという音がした。不意にカメラの視界を腕が遮り、大きなタープが車から引き出されるのが見えた。ただ一つの筋書きが脳裏をよぎった。予想が外れることを祈った。

トラックの写真。早い段階で撮影されたもの。

誰かがカメラを拾ってキャビネットの上に戻し、車をバックさせ始めた。3分間車を走らせた後、分岐した道で駐車し、車を出て積荷を運び出した。6分後、車は別の場所に移動し、誰かがカメラを拾い上げてこそこそと車から持ち出した。車はノートパソコンを売った男の家の前にあったものと同じ、あのろくでもないトラックだった。あのゾッとする男に対して警察を呼ぶ覚悟を決めるところだったとき、カメラが家の方を向いた。家は以前に訪れたそれと全くの別物だった。これを見て少し安心した。何の証明にもならないが。

4番目の映像が終わり、次の映像を見ようかどうか思案した。これがいたずらであるか、少なくともハッピーエンドであればいいというのが私の唯一の望みだった。「005」は家の中から始まった。非常に暗く、唯一分かったのは時折カメラの前を歩いているらしい人影の存在だけだった。最初は静かで、ときどき外で犬の吠え声が聞こえた。そのうちに、小さな音が聞こえ始めた。

小さな音はすぐに大きなくぐもった叫び声に変わった。身を揺り動かしてもがく音が時間がたつにつれて如実になってきた。泣き叫ぶ声も。不意に明かりがつき、カメラが持ち上げられ、部屋の中央に向けてパンした。カメラに映ったのは、殴られて血を流し、椅子に縛り付けられていた女性だった。映像を見て分かったが、この女性は最初にバーを出た女性と同一人物だった。永遠とも思える時間の中、カメラが女性の顔にズームし、そして、映像が停止した。こんなことが起こるとは信じられなかった。もともとずっと抱いていた、この映像は映画か何かだという希望は消え去った。残りの映像は一つだけとなり、自分自身の身の安全を恐れ始めた。ドアを施錠し、ブラインドを閉めた後、映像を再生した。

「006」を見始めたとき、女性はまだ生きていて、助けることができるという小さな希望を抱いていた。ホラーショーの最終回はバスルームのセットの中で始まった。カメラはカウンターの上に置かれており、鏡に向けられていた。鏡の中でドアが見えた。唯一聞こえた音はなじみのあるもので、私の希望を打ち砕いた。動力工具の音だ。スクリーンの前に座っていた時間は数時間にも感じられた。工具の音が止まり、静かになった。そして、重い足音と、何かを引きずっているような音がした。ドアノブがひねられ、ドアが押し開かれた。暗闇から現れたのは中年女性だった。女性は研究所の人のような装いとしか言いようのない格好をしており、ガーゼマスクと長いゴム手袋を身に着けていた。この光景を見て、どういう妙な理由によるものか、少しばかり安心感を覚えた。鏡の中に、女性が何かをバスタブへ頑張って引きずる様子が写っていた。女性が引きずっていたそれをバスタブに入れようと持ち上げたとき、大きな黒いゴミ袋が見えた。

若い女性の静止写真。

夢を見ているような感じがした。スクリーン上に流れるホラー映画を見ているかのようだった。女性はゴミ袋をバスタブから引き揚げた。この時点でゴミ袋は空っぽだった。零れ落ちかけていた内臓か何かを除けば。女性はカメラを拾い上げ、床に置き、バスタブの方に向けた。バスタブの前の床には、腐食性の物質やいくつかの他の空容器が置かれていた。女性は液体をバスタブの中に入れ始めた。すると、ひどい、とてもひどい音がし始めた。ポップロックにコークを混ぜたような音としか形容できない。映像が終わると、当惑し、恐慌した私が残された。最後に私は写真を開いた。1枚目はトラックの写真だった。2枚目は、椅子に縛り付けられた若い女性の写真で、殴られる前だった。そして、3枚目を開くと「破損したファイル」という表示が出てきた。しかし、多分、それでよかったのだろう。

どうにか2枚の写真を手元に残してから、ノートパソコンを警察に引き渡した。600ドルは取り戻すことができた。報奨もついていた。どうやら、被害者は中年女性の元夫のガールフレンドだったらしい。中年女性は1年ほど前に逮捕されたが、証拠不足により何の罪にも問われることなく釈放された。代わりに元夫が投獄された。これはミッシングリンクになると思う。この証拠によって答えの出なかった疑問が解決することを望む。ただ、フランネルのジャケットを着た男が何者だったのか、ノートパソコンをどうやって入手したのか、殺人犯と同じトラックをどうやって手に入れたのかははっきりしていない。後は警察に任せようと思う。

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