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2021年11月9日火曜日

『魚社会』の「カステラ風蒸しケーキ物語」

『魚社会』の表紙

 panpanyaといえばいわゆる不条理漫画で有名な方だ。作品のほとんどが一話完結の短篇で、稀に連続する作品を制作する。その稀な例外が、謎の果物・グヤバノを追う『グヤバノ・ホリデー』収録の表題作と、『魚社会』と前巻『おむすびの転がる町』に収録された「カステラ風蒸しケーキ物語」だ。

 「カステラ風蒸しケーキ物語」は、カステラ風蒸しケーキの美味しさに心打たれた主人公が、手段を問わずにカステラ風蒸しケーキを探し求めるという話だ。近くのコンビニになければ隣町まで足を運び、それでも駄目ならば自作しようと試みる。この漫画の作者は、緻密な描写と屁理屈を駆使して、非実在の事物をさながら実在するものであるかのように描き出すのが得意な方であるが、実はエッセイ漫画も得意であったようだ。そんなに美味しいのならば、私自身も一度味わってみたいと思ったのだが、既に販売終了しているらしい。残念でならない。諦めきれず、近くのスーパーをうろついたが、普通のカステラと台湾風蒸しカステラしか売っていなかった。

 ところで、カステラ風蒸しケーキを食べたことがないと記したが、実は売っているところを一度も見たことがない。漫画の通りであれば、コンビニやスーパーで売っていたはずだが、結局、一度もお目にかからずに終わってしまった。前述の通り、作者は存在しないものを実在するかのように描くのが得意な方だ。本当はカステラ風蒸しケーキは実在しておらず、すべて作者の想像上の存在なのではないかと疑っている。もしかしたら、あの聞きなれない果物・グヤバノももしや……。

 え?どちらも普通に実在する?……ああ、そう……。

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