皆様は「電車かもしれない」という題名の楽曲をご存知だろうか。アニメーションの方は知っているという方が多いかもしれない。少女が奇妙な楽曲に合わせて踊ったり回ったり縄跳びをしたりしているあのアニメーションである。今回はこのアニメーションに関係する話をしようと思う。
このアニメーションの作者は近藤聡乃氏である。近藤氏は画家であると同時に漫画家でもあり、現在は『ニューヨークで考え中』や『A子さんの恋人』などの漫画を描いている。前述のウェブ漫画のとおり、現在はニューヨークに住んでいるらしい。近藤氏の作品はウェブサイト『Akino Kondoh』で鑑賞することができる。 近藤氏は1980年生まれで、出身地は千葉県である。2003年に多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業している。 件のアニメーションを完成させたのは2002年のことで、近藤氏が大学4年生だったときのことだ。
そもそも『電車かもしれない』という奇妙な題名は、ロック(?)バンド「たま」に在籍していた知久寿焼氏の楽曲に由来する。 『アックス』Vol.42に収録された近藤氏と知久氏の対談によると、近藤氏があのアニメーションを制作した理由には単に「たま」が好きだったということもあったようだ。アニメーションに使う楽曲の候補は「電車かもしれない」と「満月ブギ」の二つだったらしい。近藤氏曰く、どちらもアニメーションにしやすい楽曲だったそうだ。
前述の対談によれば、近藤氏は『月刊カドカワ』で連載されていた「たまの百葉箱」が好きだったらしく、知久氏の絵を全て模写していたそうだ。 なお、近藤氏の短篇作品集『はこにわ虫』に収録された「はこにわ三部作」はたまの楽曲「はこにわ」 (柳原陽一郎氏の楽曲) が題材となっている。たまファンは必見である。
前述の対談には他にも昆虫に関係する話も語られている。知久氏はツノゼミなどの昆虫が好きな人物であり、近藤氏も昆虫を題材とした作品を制作している。気になる方は是非とも一読することをおすすめする。国会図書館などを利用するといいだろう。ちなみに、近藤氏は対談中、羽化したての虫について「すごく美味しそう」「チェルシーのヨーグルト味がしそう」という強烈なコメントを残している。
参考文献
- 『アックス』Vol.42, 青林工藝舎, 2004.
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