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2025年12月6日土曜日

画像生成AI遊びの記録

今時はネット小説に挿絵があって当たり前の時代。せっかくだから、流行りの生成AIを使って挿絵を作成することにした。 ここでは、没にした画像も含め、挿絵に使用したAI生成物を紹介する。

Stable Diffusionを使用した。モデルはPhotonである。 自前で環境構築を試みたが、パソコンの性能が微妙だったため、色々と機能に制約がある状態だった。 例えば、SDXLが使用できず、512×512より大きい画像の出力も無理だった。

以下、特に断りが無ければいわゆる「ポン出し」の画像である。そのような画像については、法律上は著作物として扱われないと思われる。

禍話リライト「髪ゼリー」(「こっくり譚」より)
採用
候補

最初は特に意味もなく、青いゼリーの画像を想定していた。途中から、サムネイルにしたときの鮮烈さを求め、赤色のゼリーに変更した。そんなわけで、青いゼリーの画像と赤いゼリーの画像がある。

禍話リライト「蝋燭の男」
採用
候補

蝋燭を握る手の画像にしたかったのだが、なかなか生成が上手くいかず、最初はただの蝋燭の画像で妥協した。 その後、i2iを利用して、どうにかそれらしい画像を捻り出すことに成功した。

i2iの元絵はこちらである。これを元に生成した画像を、さらにi2iにかけるなどの工程を踏んでいる。

禍話リライト「コンビニに来たカップル」
採用
候補

汚れた硬貨の画像や、地面に突き刺さったスコップの画像を生成したかったのだが、上手くいかなかった。 途中、山中を走る車の画像で妥協しようとした。 最終的には、山に佇む男の画像を作る方針に切り替え、まあまあ上手くいった。

採用した画像の元となったものは次のAI生成画像である。この画像をさらにi2iにかけて完成とした。

採用に至った画像には土饅頭のようなものが描かれているが、特にそのような指示はプロンプトには無かった。偶然の産物である。

禍話リライト「棒の手紙」
採用
候補

山積みの手紙の画像をポン出ししただけ。それ以上、何も思いつかなかった。letter違いで文字の山積みの文字の画像も生成された。

禍話リライト「保健室での譫言」
採用
候補

最初は保健室の画像を出そうとしたが、上手くいかなかった。その後、竹をテーマに適当なものが出来ないかと試みたが、それも失敗した。途中、壊れたハートの画像や、ラブレターを書く様子の画像での妥協を試みた。 最終的に、竹林の近くを走る足を出力する方向で落ち着いた。

禍話リライト「舐婆」
採用
候補

小汚い病院の画像を生成してお終いとした。これ以上は何も思いつかなかった。

禍話リライト「解説こっくりさん」
採用
候補

最終的には、目元を黒い四角形で隠した、巫女のような姿の女の子の画像となった。なお、AI生成物の背景を抽出して、暗い色になるように加工してある。

ここまでやれば、さすがに著作物として主張できるのではないか。無理か。どうなんだ。

ちなみに、加工前の生成物はこちら。可愛い。

禍話リライト「耳なし芳一」
採用
候補

当初は、文字がびっしりと書かれた腕の画像を生成しようとしたが、上手くいかなかった。その後は、バスの画像を生成する方向で切り替えた。

採用したものはバスの画像を生成し、それをモダンでビビッドでお経な感じに加工したものである。これも著作物と言い張って良いのではないか。

なお、お経の画像は下記を使用している。

加工する前の生成物はこちら。

『ロボットダンス』(Creepypasta私家訳、原題“The Robot Dance”)
採用
候補

「しょっぱい演劇」のイメージで、dirtyでoldな感じのmanを出力させた。 顔面の描写が微妙に破綻しているが、それが却って味があると思って採用に至った。

ところで、「mask」をプロンプトに指定すると、コ口ナ禍の風刺画のようなものが生成されて困惑した記憶がある。

禍話リライト「老夫婦」
採用

自宅のインターフォンの写真をi2iにかけたもの。

実物はもっと汚らしい。故障しまって以来、掃除もせずに放置しているためだ。ろくに客も来ないため、特に問題が無い。

いや、まあ、問題はあるのだが……。

禍話リライト「お礼娘」
採用

普通のプールの画像で妥協。「プールの中に墓石が立っている」という不思議な画像を作りたかったのだが、上手くはいかなかった。

試しに女の子の画像も生成してみたのだが、子供らしくない奇妙な体型だったため没となった。子供の顔に、子供の大きさの大人びた肉体がくっついており、かなり不気味だった。

禍話リライト「ベランダで自己紹介」
採用

自宅のベランダの室外機を撮影し、その写真をi2iにかけたもの。生成AIは網目の部分が苦手なのかもしれない。

禍話リライト「離脱の記録」
採用

ノートのある教室の画像をポン出ししただけである。数は沢山生成したのだが、使い道がありそうなものは少なかった。机と椅子を沢山描画させた結果、物が多い分、破綻が目立つ画像が多かった。

禍話リライト「柱の傷」
採用
候補

最初は傷の付いた柱の画像を生成しようとした。しかし、何故かログハウスや枯れ木が出力されてしまった。柱らしき画像が出力されたこともあるが、柱が新しすぎたり古すぎたりとしっくりくるものは無かった。

その後、「何かがあった現場」の画像に方針を切り替えた。これも上手くいかなかったのだが、妥協して1枚選んだ。

禍話リライト「ヤマガミさんの写真」(甘味さん譚)
採用
候補

「滝 (fall) を写した写真」の画像を生成しようとしたところ、秋 (fall) の画像が生成されてしまった。

禍話リライト「ヤマガミさんの写真」(甘味さん譚)

写真の画像

この話は廃墟好きのKさんという女性から提供されたものだ。ただ、Kさんが廃墟に行った話ではない。奇妙な写真を見せられたという話である。

ある日、Kさんは知人から、ある男性に会ってほしいと頼まれた。その人物はKさんにとって大学の先輩に当たるが、大規模な飲み会で一度会ったことがある程度で、知り合いとすら言えない関係だった。その先輩が旅行から帰ってきて以来、おかしくなってしまったらしい。頼み事をしてきた知人は、Kさんの度胸を当てにしていた。

会いに行ってみると、先輩はにこやかな笑みを浮かべて出迎えた。元は社交的でお洒落な人物だったらしい。ただ、目の前にいる人物は明らかに何日か風呂に入っていない様子だった。ブランド物の眼鏡を掛けていたが、レンズには沢山の指紋が付いていた。

「Kちゃん、お久しぶり。元気だったかな」

知り合いでもないのに、妙に馴れ馴れしい口調だった。話を続けていると、どうやらふざけているわけではなく、本気で旧友か何かに会っているつもりらしかった。

「そうそう、この間、彼女と旅行に行ったんだよね」

先輩は旅行の話を始めた。

まず異様だったのが、旅行の行き先が漠然としていたことだった。具体的な観光地の名前を出すわけではなく、例えば「〇〇県」や「××地方」というような大雑把な地名を挙げて、そこに行ったと語っていた。

「旅行ガイドに載っているホテルに泊まっても詰まらないだろ。だから、駅前の案内から旅館を探したんだ。鄙びた感じの場所だったけど、それが大当たりでね」

先輩は旅館から見える景色が良かった、料理が美味しかったと宿泊した旅館を褒め始めた。ただ、具体的に何が良かったのか、どのような料理が出たのかなど、何もかもが曖昧だった。

「その旅館にヤマガミさんっていう仲居さんがいてさ。とても良くしてくれたんだ。結構年配の方だったんだけど、俺らみたいな若い人とも気兼ねなく会話してくれてさ」

「はあ、ヤマガミさん、ですか」

「仲良くなったから、一緒に写真を撮ったんだよ」

先輩はそう言うと、スマートフォンから写真を見せた。写真には水しぶきしか写っていなかった。 甘味さんは困惑したが、よく見ると、自然の滝を接写したものらしいと分かった。

明らかに異様な状況である。しかし、Kさんは一風変わった性格の持ち主。恐怖を覚えるよりも、むしろ楽しい気持ちになってきた。そこで、先輩に直球で質問した。

「滝の写真ですか」

先輩は相変わらずにこやかな笑みを浮かべつつ、口を開いた。

「そうそう。滝だよ。旅館の近くに滝があるんだ。気持ちの良い場所でね」

「ヤマガミさんはどこにいるんですか」

「水が上から下に流れているだろ。その向こう側にヤマガミさんが居るんだ」

滝の裏側が通れるようになっているのかと思って聞いたが、そうではなかった。先輩によれば、滝の裏には何もなく、通路や洞窟があるわけではないとのことだった。

「分からないかな。ここに目があるだろ。鼻は写っていないな」

先輩は写真の所々を指をさして、ここに顔のパーツがあると言った。ただ、どう見ても、滝以外は何も写っていなかった。

先輩は別の写真もあると言って、水面を写した写真を見せた。おそらくは滝の近くで撮影されたものだ。水面にはスマートフォンを構える先輩が写っていたが、その顔は無表情だった。それ以外には何も写っていない。ただ水面が広がるだけだ。

「ヤマガミさんはどちらにいらっしゃるんですか」

Kさんは攻めの姿勢を崩さなかった。

「俺が写っちゃっているけどさ、その隣に写っているだろ」

先輩が指さしたところは水面だけが写っていた。

先輩は同じような写真を数枚見せてきた。山道の接写。木の接写。岩の接写。どれにもヤマガミさんらしき人物は写っていなかった。

Kさんは写真を眺めているうちに、あることに気が付いた。旅館の写真が一枚も無いのである。さんざん褒めていた割に、旅館の内部や、旅館からの風景を写した写真は無かった。

「旅館では写真を撮らなかったんですか」

Kさんは尋ねた。先輩は張り付いたような笑みを崩さずに答えた。

「撮影禁止だったんだよ」

このとき初めてKさんは恐怖を感じたそうだ。


本稿はFEAR飯のかぁなっき様が「禍話」という配信で語った怪談を文章化したものです。一部、翻案されている箇所があります。 本稿の扱いは「禍話」の二次創作の規程に準拠します。

作品情報
出自
禍話アンリミテッド 第三夜 (禍話 @magabanasi放送)
語り手
かぁなっき様
聞き手
加藤よしき様